サラリーマンFPがお金について思うこと

ごく普通の30代サラリーマン。 FP資格持ち。ひどいマネー関係の記事が多すぎるので思ったことを書いていく。

【投資】投資信託の選び方「インデックス型優位」の理由は?

どうも。サラリーマンFPのひろのりです。

今日はこんな記事がありましたので、投資信託のお話です。
記事のとおり、投資信託は「インデックス型優位」と言われていますが、一方で「アクティブ型」の中にもインデックス型を上回る成績を収めているものがあることも事実です。

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そこで、今回は投資信託を選ぶにあたり、どのようなものを選べばよいかを考えていきましょう。

目次

投資をする意義

2019年現在、銀行にお金を預けていても全くと言っていいほど利子が付きませんね。
大手の銀行だと0.01%、少し高いネット銀行の定期預金でもせいぜい0.2%といったところです。
100万円預けていても0.01%ならなんと1年で100円しか増えません。手数料1回分でもう赤字というレベルですよね。

はっきり言ってこんな超低金利の中、銀行に預けているだけでお金を増やしていくというのは不可能です。
そこで、ある程度リスクを取ってリターンを得ていく必要があります。
例えば、3%の利率で30年間運用できれば、元本は2.4倍以上になります。
5%であれば4.3倍以上です。
ネット銀行の金利0.2%でも30年でたった6%しか増えないのとは比較になりません。

例えば、30代で500万円の投資を始め、30年間5%の利回りで運用できれば、4.3倍以上になりますから、定年になる頃には2,150万円以上になります。
投資することで老後資金も賄える額になってきます。やはり金利の時代には投資をすることで資産形成することが必要となります。

投資信託とは

まず、投資信託とは何かについてみていきましょう。

「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品」
一般社団法人投資信託協会HPより

皆さんから集めたお金をまとめて専門家が運用してくれる、ということですね。

メリット

投資信託のメリットは、少額でも多くの対象に投資できることです。
例えば、個人で個別に株を買うときは、A,B,C社の3社に投資したいとき、それぞれ株価が1万円、8千円、5千円だとしましょう。
株は100株単位で購入することになりますから、それぞれ100万、80万、50万、合計230万円とまとまった資金が必要になります。
また、海外の株や債券、不動産など、個人で投資するには難しいものにも投資できます。
千円単位で日本国内はもちろん、世界中のたくさんの種類の対象に投資できるというのが大きなメリットです。

デメリット

一番のデメリットは手数料です。次の3つの手数料がかかることになります。
これらの手数料については、すべて低いもののほうが有利です。
なるべく低いものを選びましょう。

購入時手数料

これはわかりやすいですね。
購入時にかかる手数料です。
無料(ノーロード)から3%程度かかるものまであります。

信託報酬

運用中にかかる手数料のことです。
0.1%程度のものから2%程度のものまであります。
保有している限り1年ずつ手数料として引かれていきます。

信託財産留保額

解約時にかかる手数料です。
無料のものも多いですが、0.3%程度かかるものもあります。

もう一つは購入、解約がリアルタイムではできず、指値もできないことです。
個別の株では解約したいと思ったときにすぐに売り注文ができますし、また、○○円になったら売りたい、のような注文も出すことができますが、投資信託ではできません。

どうな投資信託を選べばよいか

それでは結局どんな投資信託を選べばよいのでしょうか?
ここでは、サラリーマンでそんなに投資に詳しくない、また、調べる時間もなかなか取れない人を前提にさせていただきます。

それでは結論から先に行きましょう。

  1. なるべく多く対象に投資できる
  2. 手数料が安い
  3. インデックス型

投資信託を選ぶとよいでしょう。

それぞれ理由を見ていきましょう

なるべく多くの対象に投資できる

これは、リスクを分散できるからという理由です。
例えば、1社だけに投資している場合、倒産したらゼロになってしまいますが、10社、20社と増やしていけばそういったリスクは減っていきます。
また、株だけでなく債権や不動産にも投資できれば、リーマンショックのように暴落が起きたときに暴落のリスクを回避することができます。
日本だけでなく海外にも投資することで、日本が不況に陥った時でも他の国が好調であれば補うことができるでしょう。
このように、リスクを下げるためには多くの対象に投資するというのは大切なことです。

手数料が安い

手数料というのはリターンに直結してきます。
購入時手数料が3%かかるということは、最初から-3%という成績からスタートすることに他なりません。

信託報酬であれば、年間のリターンをその分押し下げることになります。
最初に見たように30年間運用した場合、5%と3%の運用では、それぞれ4.3倍と2.4倍という大きな差ができます。
2%という信託報酬が取られるということは、これだけ成績を下げるということは忘れてはいけません。

インデックス型

まずインデックス型というのは一般的に②の手数料が安いです。
これは、アクティブ型は運用担当者が銘柄を選んだり、入れ替えたりを行うため、人件費や取引手数料がかかるためで、インデックス型の場合は日本であれば日経平均アメリカであればダウ平均株価のようなものに機械的に連動させればよいからです。

次に、過去の成績が良いことが未来の成績が良いことを意味しないということです。
少し見ていきましょう。

アクティブ型の中でも特にリターンが高かったのは、銘柄選別の眼力が成果を大きく左右する中小型株投信だった。日本の中小型株市場がそれだけ非効率なのか、運用会社が母国市場で優位性を発揮できたのかは定かでないが、インデックス型の3倍近い信託報酬を取りながら長期で成果を上げてきた
この結果を見る限り、国内の中小型株投信は長期で高いリターンを求めるなら有力な投資候補となりそうだ。

記事の中では、過去15年の成績から、国内の中小型投信は有力な投資候補となりそう、と結論付けています。
それでは、このグラフをみてA,B,Cのどれに投資したいでしょうか?

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SBI証券HPより編集

なんと、20年にわたり、A,BはCと比べて圧倒的な成績を収めています。
普通に考えたら、A,Bのどちらかに投資したいでしょうし、記事の考え方でも20年間の成績が優秀であればそちらの方へ投資した方が良いということになります。

もしかすると勘づいておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、答え合わせは次のようになります。

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SBI証券より

というわけで、A,Bに投資した場合、そこがピークで後は下がっているのに対して、Cに投資した場合、10倍ほどになったことでしょう。
これはあくまでも一例ですし、バブルの日本というかなり意図的にデータを抜いてきていますが、過去の成績が未来の成績とイコールではないということはわかっていただけるのではないでしょうか。

つまり、いくら過去の成績を調べても未来の成績を保証できない以上、私たちのようなサラリーマンはそれぞれの会社や資産を逐一すべて詳しく調べるだけの時間はとれませんから、なるべく多くの資産に分散投資して平均的なリターンを狙っていくことが重要になります。

そのため、①なるべく多く対象に投資できる②手数料が安い③インデックス型の投信を選ぶことが必要となるのです。

まとめ

投信の選び方について、わかっていただけたでしょうか?
もちろん、いくら分散してリスクを下げても元本保証の商品ではありませんから、一時的に元本割れする可能性は十分あります
ただ、こちらの記事でも書いたように、

fplifeplan.hatenablog.jp

世界経済全体で見れば年間でマイナス成長になる年はほぼありませんし、これからも成長を続けていくと予想されています。
また、世界の人口もまだ増え続けていますから、株式や不動産についてはこれからも資産として通用する可能性が高いといえるでしょう。
長い目で見て資産を育てていくという観点で投資を行うことで、世界中の経済成長を得られるともいえるでしょう。

今回は投資信託の選び方についてでした。少しでも参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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【家計】給料が1万円あがっても手取りは「5,576円」しか増えないって本当??

どうも。サラリーマンFPのひろのりです。

今日は給料の計算についてのお話です。

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給与明細、毎月給料日前にはもらっていると思いますが、なんだかごちゃごちゃ書いてあってよくわからないですよね。
とりあえず、額面の給料額から、年金とか税金とかたくさん引かれて、手取りはこんなに少なくなっちゃうんだ、、、って思いませんか?
私は正直思ってました。

じゃあ具体的な計算方法ってどうなっているの?という話は、とてもめんどくさいので給与ソフトにでも任せておくとして、今回はこの記事

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にならって給料が1万円増えたらどうなんの?ってことを計算してみたいと思います。

ちなみに「5,576円」ではないですよ。
この記事書いた人はもちろんですが、このまま掲載しちゃった「マネーの達人」さんも反省したほうがいいと思います。記事チェックしないんでしょうか?
だって1万円増えて5,576円ってことは、単純に45%ほどが天引きされることになりますが、いくら何でも一般庶民レベルの年収でそんなことはないって感覚的にわからないもんですかね???

目次

 給与計算の方法

まずは給与から天引きされるものは何があるのか、ということを見ていきましょう。

収入からは所得税・住民税・社会保険料と3つの大きなお金が差し引かれ、いわゆる「手取り」はぐっと少なくなるからです。

ということで、大まかに言えばこの3つですね。
そして、社会保険料の中には、厚生年金保険料と健康保険料、介護保険料(40歳以上)、雇用保険料(記事では計算されていません)がありますよ。 

社会保険料の計算

記事中一番間違いが少なかった社会保険料から行ってみましょう。

1万円 ×(18.3% × 1/2 + 10.17% × 1/2)= 1424.5円
厚生年金保険料率は全国一律18.3%です。
健康保険料率は保険者によって差があるのですが、協会けんぽ大阪府)の10.17%をひとまず採用しました。
この保険料は雇用者との折半になるので、会社員が実際に天引きされるのはその半分となります。
※40歳以上の人はさらに介護保険料を支払わなければなりません。

厚生年金保険料18.3%と健康保険料10.17%を労使折半していきますので考え方はOKですね。
このモデルでは30代のため介護保険料もありません。
とはいえツッコミどころもあります。

雇用保険料はどこへ?

雇用保険がないんですよね。まあ料率は0.3%(0.6%が事業主負担で計0.9%)ですから影響は少ないですけど。

1万円×0.3%=30円

これは追加しておかないといけません。

厳密には厚生年金と健康保険も計算の仕方が違う

実は厚生年金、健康保険とも計算方法が若干違います。
記事にあるように額面に直接保険料率をかけて計算するわけではなく、等級表に応じて額が決められています。

厚生年金保険料額表(日本年金機構)

例えば、額面40万円であれば、39万5千円以上42万5千円未満という等級になりますので、この範囲であれば自己負担は「37,515円」で変わりません。
40万円から41万円に給料が増えても年金保険の額は変わらないということです。
逆に、42万円から43万円に増えると「37,515円」が「40,260円」に一気に増えるため、純粋に保険料率をかける計算方法とは若干ズレが出ますね。

これは具体的にモデルケースを決める必要が出てくるため、省略は仕方ないとは思いますが、一言も触れていないのはちょっとな、、、と思ってしまいますね。

 所得税の計算

次、所得税行きましょう。

1万円 × 20% = 2000円
所得税累進課税です。
ただし、総収入額にそのまま課税されるわけではありません。
給与所得控除や扶養控除など諸々の控除をへて、年収500万円を少し超えるくらい(男性会社員の平均年収)なら、所得税率は10%ゾーンにとどまるか20%ゾーンに少しだけ入るかくらいでしょう。
年収1,000万円というような人でも、所得税率は23%ゾーンにとどまります。
夫は出世をもくろんでいるので、20%ゾーンに少し入るとして考えました。
※計算の簡略化のため、復興特別所得税を無視しています。

 記述は正しいんです。その通りなんです。
間違ってるのは最初の式
1万円 × 20% = 2000円
これです。自分で「ただし、総収入額にそのまま課税されるわけではありません」って書いてるのに、計算は思いっきり総収入額にそのまま課税するようにしてますけど、、、

じゃあどうなるの?という話。2点、考慮しなくてはいけません。

給与所得控除

こんな感じで、給料に対して所得控除がかかります。

給与などの収入額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,000円超〜180万円以下 収入金額 × 40%
180万円超〜360万円以下 収入金額 × 30% + 18万円
360万円超〜660万円以下 収入金額 × 20% + 54万円
660万円超〜1,000万円以下 収入金額 × 10% + 120万円
1,000万円超 220万円

例えば年収600万円の人で計算すると、
600万円×20%+54万円=174万円が控除されます。

月1万円増えた場合は、年収は12万円増えます。
控除額は 612万円×20%+54万円=176.4万円となります。

所得税は控除した後で税率を掛けますので、次のように計算します。

(600万円-174万円)×20%=85.2万円(月7.1万円)

(612万円-176.4万円)×20%=87.12万円(月7.26万円)

ということで、給与控除を考慮すると、ひと月に増える所得税

7.26万円-7.1万円=1,600円

ということになりますね。

社会保険料控除

次に考慮しなくてはいけないのは、社会保険料控除です。
これは、厚生年金や健康保険などの分を控除すること。
つまり、最初に計算した社会保険料の増額分は控除されます。

厚生年金と健康保険で月1424.5円、雇用保険が月30円増えます。
年間では(1424.5+30)×12=17,454円さらに控除されることになります。

(612万円-176.4万円-17,454円)×20%=867,709.2円(月72,309.1円)

600万円との差額は 72309.1円-71000円=1309.1円となります。

給料が1万円上がると所得税は約1309円上がる、ということです。
そのまま20%をかけて2000円上がるわけじゃないのです。

住民税の計算

住民税も所得税と計算方法は同じです。
本当は基礎控除配偶者控除などの控除額が異なる部分があるため、調整控除という作業を行うのですが、これは世帯モデルなどを具体的に決めないと計算できないので省略します。

あとは税率が10%(ほぼ全国統一ですが神奈川県などごくわずかに例外があります。)として計算をします。

(600万円-174万円)×10%=42.6万円(月3.55万円)

(612万円-176.4万円-17,454円)×10%=433,854.6円(月36154.55円)

差額は36154.55円-35500円=654.55円ですから、住民税は約655円上がるということですね。
こちらも、記事のように1万×10%=1000円上がるわけではありません

1万円給料が上がると手取りはいくら上がるのか?

これまでの計算を合わせてみましょう。
給料ー(社会保険料所得税+住民税)となります。

1万円-(1454.5+1309.1+654.55)=3418.15円

ということで額面年収600万円の人の給料が1万円上がると、3,418円天引きされ、6,592円給料が上がることになります。
これでも給料が増えた分 の約1/3は天引きされるので、厳しいといえば厳しいですが、さすがに5,576円よりはずいぶんマシに感じるのではないでしょうか。

記事後半のワークライフバランス的なご意見の部分にはあえて触れませんが、明らかな間違いを前提に話を進めるのはいけないと思いますよ。

まとめ

1万円昇給しても6,592円しか手取りがあがらない、と思う方もいるかもしれません。
しかし、1万円昇給しなければその先5万円、10万円の昇給はあり得ません
そして、しかるべき時期に昇進しないと後で昇進したくてもできない企業も多いです。

過去記事でも書きましたが、節約のみで家計を改善しようとしても、収入額以上には使えるお金が増えないという限界があります。
なのでワークライフバランスは前提とはなりますが、基本的には昇給のチャンスがあるなら乗っておくほうがいいのかな、と思ったりします。

fplifeplan.hatenablog.jp

 蛇足ですが、そんなに手取りが減ることが嫌であれば、同じ1万円稼ぐなら専業主婦の方がパートに出るほうが手取りが多く残りますね。
そんな方法も案外必要かもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事も、少しでも参考にしていただければ幸いです。

 

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